よく、ソムリエがワインを飲んでテイスティングのコメントをしている場面があります。
(あまり見ないか 笑)
「ワインをテイスティングしてコメントすることに何の意味があるの?」
と思われるかもしれませんね。
ワインテイスティングを勉強している人たちは
ワインの色や香り、味わいについて個人の感覚ではなく
その表現の「共通言語」を学びます。
こういう香りはこういう表現。
こういう味わいはこんな表現と。
味わいも細かく酸味のレベル、果実風味の大小、渋みの強さ、アルコール感など。
目指すところはそのワインを見たことも飲んだこともない人(その人も共通言語を理解していることが求められます)に色・香・味わいの表現して説明したときにどんなワインがそこにあるかがわかること。
なんなら電話の向こうの人に今飲んでるワインを完璧に想像させることができること
です。
外国の人にはその共通言語をその国の言葉に置き換えるだけ。
(おもに英語かフランス語)
世界各国の人にそれがどんなワインかを伝えることができます。
そうして分析したものをソムリエとしては
このワインはどんなグラスに入れるべきか
どれくらいの温度で提供するべきか
どんなシチューエションに向いているか
どんなお料理と一緒に飲んでほしいか
このワインは今後さらにおいしくなるのか 今すぐ飲んだほうがいいのか
どれくらい持つものなのか
を考えます。
そしてお客様が
「このワイン、美味しい」
とおっしゃったときに
なるほど、こんな香りのこれくらいの酸味と渋みのレベルでこれくらいの飲みごたえのものがお好きなんだな。
と理解して、次お勧めするワインを探します。
なので
「どんなワインが好きですか?」と問うて
「重いワインが好き」とか「繊細なワインが好き」といわれても
人それぞれ「重い」とか「繊細さ」とかは捉え方が違うので
「私はカリフォルニアのカベルネソーヴィニヨン赤ワインが好きらしい」という風に言ってもらえるほうがおすすめしやすいですね。(それが難しいねん)
私たちはカリフォルニアワインとそれぞれが共通するワインを探してご提案します。
ちなみに好みのワインのタイプをお伺いして一番困るお答えが
「飲みやすいの」
です。
(私にとって「飲みにくい」ワインはほとんどないので…)
ただの言葉遊びに見るかもしれないコメントですが
実は深い意味を持っています。
ちなみにこちらのワインは
フランスのロワール地方の 《サンセール》というソーヴィニヨンブランというぶどうから作られた白ワインです。
生産者は《アンリ ブルジョワ》さん
これをコメントすると
『白ワインです。
外観は澄んでいて輝きがあります
少しだけグリーンのトーンが感じられる淡い黄色
粘性は中程度
外観からは若々しいワインでぶどうの熟度はそんなに高くないワインではないかと推測できます。
香りは開いていて強めですが複雑性は高くはありません
若々しいフレッシュな香りが印象的です
フルーツは
フレッシュなグレープフルーツの果肉の部分、ライムの皮、あまり熟していないリンゴや和梨
漠然と白い花の香りが少し
清涼感のある香りで フレッシュのグリーンハーブ セルフィーユやディルといったもの
そしてグリーンアスパラガスのような野菜系の香り
鉱物的な香り 貝殻や石と石をすり合わせた時のような
マロラクティック発酵由来のクリーミーな香りや樽由来の香りは感じられません。
味わいもフレッシュ感が前面に感じられます
果実味は控えめですがみずみずしさを感じます
いきいきとしたクリスピーな酸味が豊かで味わいのフレッシュさを引き立てます。
アルコール感は中程度で13%程度
味わいの引き締まったミディアムよりやや軽めな辛口です
比較的シンプルで清涼感とフレッシュさを楽しむワインです
低めの温度7度くらいで中程度の大きさのチューリップ型のグラスで
ランチや ディナーの食前にもぴったりですし
食中であれば軽めの前菜のお料理に合わせたいワインです
素材としては白身魚のカルパッチョにフレッシュハーブを使ったヴィネグレットと一緒に
またはアスパラガスやえんどう豆を使ったサラダ風なお料理にも合いそうです
今飲んでおいしく、この1~2年で楽しむワインです。
産地は比較的冷涼か日照量の多くない産地か収穫年のワイン おそらくフランスのロワール
品種はソーヴィニヨンブラン
2022年ヴィンテージ
4000円くらいまでで購入できると嬉しいワインです 』
というようなコメントですね。
面倒くさいですか? 笑
難しそうではありますがコレには「型」があります
コメントすべき項目があってそれを上から順番に言ってるだけです。
そのワインの表現に置き換えて。
英語やフランス語でってのも難しそうですが
使う単語も限られてますし実は慣れるとむちゃくちゃ難しいものではありません。
英語やフランス語で会話できることを求められているわけではありませんし。
まぁ、あくまでワイン業界のプロの中のお話なので
ワインを楽しむということではこんなことは全然必要ありません。
コメントなんてしなくても
「おいひー!!」
といってるだけで十分です。
小難しいことより楽しむことが大切です!
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